朝鮮半島の紛争解決の糸口を求めて

 
第2の韓国動乱の危機、家族愛、世界平和
『漢江より還る』 蓮本健次著 (要約6頁、全文354頁
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要約
全文
 このA4版、354頁に及ぶ自叙伝『漢江より還る』は、ユギオ戦争(6.25動乱)から始まります。
奥山氏(プロデュ―サー)が熱心なので、原著者、蓮本健次氏と2月20日正午にお会いしました。
「お会いするには少しでも原稿を読まなくては、」と思い、読み始めました。その後物語の展開に
引き込まれ、一気に読破してしまいました。
この自叙伝は第2次大戦中、満州国特務機関のトップであった蓮本氏の次男、蓮本健次氏の
自叙伝です。諸般の事情から健次氏は韓国軍大佐、李虎範・李順愛夫妻に養子として預けられ
ます。この平穏な家庭に突然襲った韓国動乱。小生はこの物語に3つの意味で韓日両国民に対
する天からのメッセージを感じます。

1、1つは日本への預言的警告です。

 まさに第2の韓国動乱が、東北大震災のように、人災として突然勃発しても不思議でない程,
緊迫した状況,日韓両国民への警告の書です。「大義に立つ勇気の道は、生涯の勝利を招く」
 3月21日、韓国から来日された方々と[緊迫する韓国情勢に対して今こそ韓日は勝共統一団結
する時である]との認識を深めました。4月10日前後、日本から有志が韓国へ応援に行くことも
検討しています。市河政彦会長(元創価学会本部理事、公明党最高顧問)の協力で、
2月27日にフォーラム
を持ちました。
 4月10日と言えば、ソウルで「洪蘭坡生誕120年祭の式典」があります。檀国大学理事長、張忠植
理事長が日本の『鳳仙花─洪蘭坡評伝』の著者、遠藤喜美子名誉教授(ソプラノ歌手)に感動され、
遠藤先生はソウルでの式典に記念講演に招待されました。このようないくつかの動きは新しい日韓
関係の胎動と思うわれます。

2、濃厚な家族愛

 小生がこの『漢江より還る』の原稿に今日的意味を感じる第2の理由は、韓国動乱後の李家に起
こった激震とこれと必死に戦う家族愛(四大心情圏)の生きた感動の証です。誰しもその親子の愛、
夫婦愛、兄弟愛、また友人への情愛には涙を禁じ得ません。犯人捜しの推理ドラマに飽きた日本人が
韓国のドラマに惹かれるのは、この忠孝烈の情が韓国には未だ残っているからだと思います。小生3月
一杯に「オリンピックへの提言」の第2信親書)を委託されていますが、その核心の一つが文明的大
転換としての東洋の伝統を主体に行き詰まりに来った西欧文明を融合し、共に生きる統一平和世界
を実現にし資することです。 

第3に、真の愛についてです。

 この家族愛は実は、血のつながりのないバーチャルな関係であったことです。主人公、李幸一氏は
18歳にしてその事実を知り、愕然とします。養父、李虎範氏は、軍隊では立派につとめても、退役後、
慣れぬ商売で、従業員に財産を持ち逃げされ、借金がかさみ、入獄。健次氏(韓国名:李孝一)
は問う。「お父さん、どうしてそのことを言ってくださらなかったのですか?」 これに対して義父は
、「赤ん坊が余りにもかわいかったから」と。ここに血肉、民族、国境を越えた真の愛を感じます。
小生、20歳の初秋(53年前)、突然出会った神様の愛は今も鮮明に覚えています。吾々が親に
なったり、子になったり、夫婦になったり、いろんな立場を通過するのは、実にこの「神様の愛を体恤
するためであった」と痛感するこの頃です。我々はあまりにも自己を偶像化し過ぎています。この世で
はお金や権力で、宗教界でも自己を正当化するために神様やみ言、血筋、あらゆることを自己正当化に
利用しています。聖書66巻を3度訓読する機会に恵まれ、一番痛感したことは、天が憎む、
怒るのは、偶像崇拝、偽善者であること、十戒、マタイ22:36-40は核心を突いていることです。
内村の語録、P.ティリッヒ(牧師・神学者)、H.G.ガダマー(哲学者・解釈学)も同じ路線です。

 「神は生まれながらの義人よりも、悔いあらためたる罪人を愛す。神は清廉潔白の心よりも罪を
悲しむの心を愛す。義人また神を識るの能力を有す、しかれども彼の目に映ずる神は罪人がその
心に感ずるがごとき完全なる神にあらず。罪を癒しうるの神は、義を悦び給うの神よりは偉大なり」
「物界は、欧州人に属し、霊界はアジア人に属す。 欧米人はまことにこの世の大王なり。全地はいま
やまさに彼らのものたらんとす。されども世界の宗教は、ことごとくアジアの宗教なり。・・・アジア人は
霊界に王たり。この世が化して、ついに天国たるべし。」
                                     内村 鑑三 
 2017年2月28日 記
  

   小生(大脇)は下記の3つの件に挑戦してします。

  1)新しい日韓関係の関係の構築(世界平和実現のための日韓協力)
    第2の韓国動乱はいつ起こっても不思議でない程、危機な状況にあります。
    いま『漢江より還る』という蓮本健次氏の原稿(352頁)を預かっています。
    映画化を期待して小生に原稿を託されています。
    朴槿恵前大統領の件は70年代を頂点とする共産主義との闘争を経験した日本の体験が
    今大きな力を発揮しています。先日も韓国の要人がこれを学ぶためにら来日されていました。
   去る2月27日、韓国問題を中心にフォーラムを開催しました。(動画アップ中・DVDも有り)
   上記のサイトに3月10日憲法裁判所の決定後の論文(福田之保、重村智計氏)も紹介して
   います。併せてご覧ください。4月10日ソウルにおいて、洪蘭坡生誕120年祭式典が開催され、
   『洪蘭坡評伝』の著者、遠藤喜美子教授が招待講演、洪蘭坡の代表歌「鳳仙花」を独 唱されました。
   新しい日韓関係の曙光です。記念コンサートにさんkされた方々が洪蘭坡の学んだ跡を訪ねて、
   訪日されるようになりました。 新しい日韓関係の曙光です。 
 
  2)「オリンピックへの理念的提言」
   昨年から「オリンピックへの理念的提言」を有識者と討議を重ねていますが、今回、第2回の提言書
   を本年度内に関係当局に届けることに時間を費やしています。        
   今年の提言の要は、下記の3つです。
  (1)、ボランティアの力を活用
     天井知らずの予算を削減して、感動のオリンピックとする道は、オリンピックにボランティアの力を
    活用し、これを契機にボランティア社会の育成に努めることである。
    驚くべき経費削減と感動のイベントのメルクマールとして、7前開催した国際平和文化フォーラム
    の事例をアップしました。
    東大駒場での国際フーラム、広島、長崎での平和集会、ノーベル賞受賞者を含む海外11人の
    招待者を京都・奈良観光ご接待、「どう見ても5千万円はかかったであろう}とのプロの予測に対
    して経費は2百万円。それも予算ゼロから7か月で全て為し遂げた。「自分ならではの才能を、
    各自が喜んで犠牲的に出しあった」お蔭であった。まさに「どれだけ予算を貰えるか」ではなく、
    「どれだけ自分は世界平和のために、戦争に犠牲になった人々を慰霊するために貢献できるか」を
    問うたからであった。 お金が無くて厳かったが、それに反比例して精神的喜び、感動の連続であった。
  
  (2)、オリンピックの基本精神の確認:東京宣言を!
     誰が?  プロセス:選手を含む全員参加の共同宣言とする。 東京宣言は以後のオリンピックへ継続され
     レガシーとなることであろう。

  (3)、文明の大転換点として位置づけること。東西を融合した新しい文明の創造を!
     国民総出のおもてなしを通じて、日本文化、東アジ化文化の紹介(箱物よりはソフトに予算を回す)
      *「縄文文化で聖火台を!」加藤春一氏の提言 *「オリンピック運動推進が基本」 橋本 明 氏の提言」

  3)原子力、エネルギー問題への提言:
     先日 米国の学者(葉G.P博士、米国フェルミ高エネ研、ノーベル賞候補者台湾出身)が来日され、
    「ウエスチングハウス、東芝の件は今こそ、第3原子力を道、トリウム原発に踏み出す絶好の機会な
    のに日本は何をしているのか?」と聞かれ、2、3の先生方にお聞きし、葉博士にご報告しました。
    第3の道トリウム原子力の道、葉恭平博士のおっしゃるように日本では全く進んでいません。 
    日本の何人かのご意見を伺ってさらにその実態を知り確認しました。

    吉岡律夫先生(トリウム溶融塩研会長、元東芝、福島第3原発急設計者)は「ガララパゴス化現象」と
    表現さました。李登輝氏のトリウム原発に関す部分をお送りくださたさったので、小生のサイトを更新
    して掲載しました
。「ぜひ、外圧で日本の現状変革にご協力ください」とのことでした。
    また「福島第1原発所長の追悼記念行事を続けることは大切だ」ともおっしゃっていました。
 
   有馬朗人先生(元東大総長原子核工学)は静岡芸術大学にお着きになったなったばかりでしたが、
   同じ感想でした。「まずトリウムに取り組む大学が現れることがとっつかりになる」とおっしゃっていま
   した。「安倍首相への直訴の件」もお聞きしましたが、「首相が話にのるのは難しい」とお考えでした。
   ご出勤中であった角井日出雄氏(事務局)を始め、木下幹康氏、古川和朗教授(高エネ研)は何度
   連絡してもつながらず、皆、忙しく現場でお働きのようでした。

   今度、葉博士がご来日の折には、これ等の方々と胸襟を開いてお話になることがよいと思います。
   関西の佐々木正氏の秘書役、岩崎氏、川勝静岡県知事、中部電力とも連携するとよいと思います。

   世界を変えるのは「価値」「システム」「技術」の3つです。
   技術の前提である科学的事実を個人や団体の都合で改ざん、隠ぺいすることがマス コミで騒がれて
   れいます。原子力事故処理問題、危険に頬かむりして安全神話を吹聴した付けを払ってています。
   自然の真実を知らせず、政治権力や経済的利潤 に走りすぎた付けです。もっと真実を見極める勇気
   と真実を土台とした思い切ったイノベーションが期待されます。2017年7月9日、本年も、吉田昌郎元所長の
   第4回追悼集会が東京で開催されますが、同じころ長崎大学核廃絶センター主催でフォーラムが開催される予定です。
   いずれも危険極まりないウラン原発から再生エネルギー、核融合のつなぎの安全原発としてトリウム原発
   扱う方向であることは光明に思える。
  
   先月末(3月)、創生ワールドは、フィ リピンのエネルギー長官自宅に創生水生成器を設置した。シェルガス
   の採掘にあたり、創生水を使うと1バーレル当たり、現在の75ドルから40ドルにコストが下がる。
   その上、石油を取り出すための界面活性剤等6つの薬剤(環境汚染物質)を使わずに済む。トランプ
   大統領との折衝がNewsWeekを仲介として始まりつつあります。環境にやさしいエネルギー革命
   胎動である。(「燃料になる水」)
                                     以 上
     

 中東紛争解決の糸口 映画『もうひとりの息子』

    もうひとりの息子の概要:2013年に公開されたフランス映画。同時期に日本映画『そして父になる』が公開された。両者は共に子どもの取り違えがテーマになっている。後者の作品は、親からの視点で描かれ、前者は子どもの視点で描かれている。二作品とも秀作だが、本作の方が勝っている。この作品がいかに秀でているか。それは、今も争いが耐えない二組の人種、イスラエル人とパレスチナ人の視点から描かれている点だ。第25回東京国際映画祭にて東京サクラグランプリと最優秀監督賞を受賞。

 ユダヤ系フランス人のロレーヌ・レヴィが監督と脚本を担当し、第25回東京国際映画祭で東京 サクラ グランプリと最優秀監督賞に輝いた感動作。

 イスラエルとパレスチナという対立関係にある家族の間で、取り違えられた子どもをめぐる困惑の日々を描き出す。兵役用健康検査の結果、両親の実子でないことを知ったイスラエル人の青年。出生の際の手違いが明らかになり、やがてイスラエルとパレスチナふたつの家庭のアイデンティティと信念とが、大きく揺さぶられる事態に発展する。根深い憎しみからの解放を描く。苦悩しながらも前進しようとする彼らの姿に希望が宿る。

作品概要:公開日:2012年上映時間:101分 監督:ロレーヌ・レヴィ 
映画『もうひとりの息子』のあらすじ。
イスラエルで暮らすフランス系ユダヤ人ヨセフ(ジュール・シトリュク)は、18歳になったばかり。彼は、兵役を受けるために軍を訪れていた。軍に入隊するために様々な診断を受け、後日彼の家族の元に届けられた診断結果は、驚くべき結果だった。それは、今一緒に暮らしている親とは、血の繋がりがないこと。ヨセフの本当の両親は、別にいることだった。ヨセフの母親(エマニュエル・ドュヴォス)はショックを受け、父親(パスカル・エルベ)は悲嘆に暮れるばかりだった。またヨセフの実の両親と言うのは、高さ9mの分離壁に隔てられた向こう側の国、パレスチナに暮らす人間だった。

ちょうど18年前、湾岸戦争が勃発していた。軍に入隊していたヨセフの父親を頼って、彼の母親が身重の身体で戦地を訪れていた。出産予定日はまだ先のことだったが、予定日より早くヨセフを産んでしまった。湾岸戦争と言う混乱の最中、病院側の手違いで実の息子ヨセフと他人の子を取り違えてしまっていた。確かに、戦争の混乱期と言えども、親としてこんなにも悲しいことはない。ヨセフの実の両親のパレスチナ人と育ての親のイスラエル人が、当時の病院に呼ばれて、顔を合わせることに。双方の母親は、落ち込みながらも気丈に振る舞い、それぞれの息子の写真を交換し、前向きに物事を捉える一方で、二人の父親は紛争、宗教、そして分離壁のせいで、双方対立した姿勢を取り、言い合うばかりだった。彼らの間には、分離壁以上に目に見えない高い壁が存在していた。

また、当事者でもある取り違えられた二人の息子たちもまた、その事実に苦悩し、葛藤しながらも一つずつ彼ら自身の運命を必死に受け入れようとするのだった。ヨセフは幼い頃から優秀なユダヤ教信者で、ラビからも深い信頼を得、聖体拝領もし、立派なユダヤ人、ユダヤ教信者として認められていた。そんな彼にラビは、両親がユダヤ人でない以上、ヨセフをユダヤ人だとは認められないと、きっぱり言い渡される。18年間信じて疑わなかった彼の思想が、アイデンティティが一瞬にして覆されてしまう。一方、パレスチナ人として分離壁の向こうで家族と共に暮らしていたヤシン(マハディ・ザハビ)もまた、一人苦しんでいた。年の近い長兄と両親と同じ席で、ヤシンは真実を聞かされる。ショックを受ける本人を尻目に、長男がヤシンを攻撃してしまう。『お前は“壁”の向こうにいる敵と同じだ。早くこの家から出て行け』と。昔は兄弟仲良くしていたのに、事実を聞かされた彼はヤシン以上に、混乱し傷つき、葛藤していた。愛する弟が、壁の向こう側にいる敵と同じと言う事に。親として、子どもとして、真実を受け入れるのはあまりにも酷なことだ。病院側にも責任があるかも知れないが、湾岸戦争と言う混乱期に起きた悲しい出来事に、誰がその責任があるのか、問えないのが一番悲しい。
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もう『ひとりの息子』 ネタバレ批評
取り違えから起きる家族間の不協和音。そして再生への道

前述でも述べたように取り違えを扱った作品には是枝裕和監督作品『そして父になる』がある。本作同様、二組の家族の葛藤がしっかり描かれているが、本作『もうひとりの息子』では、家族同士の葛藤と同時に、二人の青年の人種として苦悩や物事の分別がつく年齢の設定から起こる焦燥感や疎外感など、しっかり表現されているので、大人の視点からでも、子どもの視点からでも、この重いテーマのメッセージを受け取ることが出来る。

また世間では、乳幼児の取り違えと言う人為的ミスが本当に存在すのか、疑問に思うかも知れない。近年の日本では、データ管理を行い、産まれ立ての赤ん坊に区別を付けるためにリストバンドをするようにしているようだが、やはりこのような事例が起きる一番の要因は、人手不足だろう。人手不足で起きた乳幼児取り違えの一番多いケースは、戦後間もない第1次ベビーブームであろう。この時期に起きたケースの中で最も有名なのは、訴訟事件にまで発展した事件だ。同じ病院、同じ日に産まれた二人の男の赤ちゃん。一人は裕福な家庭の子。もう一人は貧乏な家庭の子。この組み合わせは十分、アニメかドラマであるような組み合わせだが、これは本当にあった事例なのだ。裕福な家庭で育つはずだった少年は、間違えて貧乏な家庭で育つ。暮らしはどん底で、生活保護を受けるような家庭の上、学生時代も相当の苦労があったようだ。その一方で、裕福な家庭に間違えて渡された少年は、その後何不自由なく60年間、その家庭の長男として過ごしたが、両親が死に、遺産相続中に、昔から長男だけが似てないと言う理由から下の兄弟達がDNA鑑定を依頼したところ、その家族の長男でも、実子でもないことが判明。その後病院側を相手取り、訴訟を起こしたと言うのが、この事件の一連の流れだ。このケースを基に70年代に『ねじれた絆』と言うドラマが制作された。このドラマは2004年にも一度、制作されている。日本映画『そして父になる』の土台とも言われている。

乳幼児期の取り違えは、日本のみならず海外でも多く事例が報告されている。そして、その事実が発覚した際には、夫婦間や親族間での問題に発展したりすることもある。これは、家族や子どもの人生や生活に、多大な影響をもたらす。単純に人為的ミスとは言い切れない重大な事態に巻き込まれた家族達は、それに立ち向かう精神力を身につけないといけない。

映画『もうひとりの息子』について
本音を言えば、この作品に対し特筆すべきところが、まずない。監督が有名でもなければ、役者に華があるわけでもない。ミニシアター系列で上映される作品群でも、実に小粒な作品だが、それに見合う対価として、やはり東京国際映画祭での賞の受賞や映画作品における題材が、映画そのもの付加価値を補えていると、言えるだろう。
ただ主演の青年ヨセフ役には、数年前にフランス映画界で子役として華やかな活躍をしていた役者ジュール・シトリュクが複雑な役所を演じている。その点は、映画の中でも特筆できる点だろう。彼は子役時代に『バティニョールおじさん』と『ぼくセザール 10歳半 1m39cm』の2作品で主演を見事に務めた。前者の『バティニョールおじさん』では第2次世界大戦のフランス。ドイツ軍に連行されるユダヤ人少年を好演。共演にはこの作品の後に『コ―ラス』や『幸せはシャンソニア劇場から』等で脚光を浴びるジェラール・ジュニョ。ジュール・シトリュクは子役ながら大人の役者ジェラール・ジュニョを凌ぐ演技を披露している。後者『ぼくセザール 10歳半 1m39cm』では等身大のフランス人の子どもをありのままに演じていた。その後『皇帝ペンギン』では声優を務め、子役さながらの活躍をしていたが、その後あまりパッとした活躍をしていなかった分、本作の出演はこれからの彼の活躍に大いに影響して欲しいと、私は思う。

また母親オリット役には、フランスを代表する女優エマニュエル・ドュヴォスが葛藤する母親役を熱演。彼女は日本では、有名な女優ではないが、フランスでは多くの作品に出演している。『預言者』『君と歩く世界』の監督ジャック・オーディアールの監督初期作品『リード・マイ・リップス』にて米アカデミー賞にも匹敵するフランスのセザール賞にて主演女優賞を受賞。その後、同監督作品『真夜中のピアニスト』にも出演している。他には、フランス映画界を代表する監督アルノー・デプレシャンの7作品のうち4作品に出演。『魂を救え!』『そして僕は恋をする』『エスターカーン めざめの時』『クリスマスストーリー』の4作品。まさにアルノー・デプレシャンのミューズとも言うべき女優だろう。フランスを代表する女優と言う肩書きが合う女性だ。

最後に、本作の監督を務めたのは女流監督のロレーヌ・レヴィだ。彼女の情報は、この作品以外、ほとんど入ってきていないが、本国フランスでは、1985年から活動しているようだ。活動初期は、舞台が中心の活動。後に、舞台からテレビの世界に入り脚本家として、活躍の場を広げる。2004年、彼女が監督と脚本を兼ねた作品『La premiere fois que j’aieu 20 ans(私が20歳であった最初の頃)』にて、監督長編デビューを飾る。引き続き長編2作目にマルクル・レヴィのベストセラー『Mes Amis, Mes Amours(ぼくの友だち、あるいは、友だちのぼく)』を脚色し、キャスティングにはフランスの人気の役者を起用。そして長編3作目でもある本作『もうひとりの息子』でやっと、日本に彼女の作品が輸入され、東京国際映画祭でも注目を集めました。

また主演を取り囲むように他の役者たちも、日本での知名度は低いが、世界を代表するベテランから若手までを揃えている。ヨセフの父親役を演じたパスカル・エルベは舞台中心で活躍してきたユダヤ系アルジェリア人。2008年の同作の監督作品『Mes Amis, Mes Amours(ぼくの友だち、あるいは、友だちのぼく)』にも出演している。2010年には監督業にも進出している。彼が出演した作品が日本に入ってきたのは本作が初めてかもしれないが、フランスでは既に多くの場で活躍をするベテラン俳優だ。パレスチナ側の両親役には、父親にはハリファ・ナトゥール。『迷子の警察音楽隊』で脚光を浴びたベテラン俳優。母親役にはパレスチナ難民出身の世界的巨匠ラシード・マシャラーウィ監督の夫人でもあり、彼のミューズ的存在だ。同監督の作品は2008年の第21回東京国際映画祭にて『アジアの風』部門にて特集上映されている。

二人の間の息子ヤシン役には、ベルギー映画界が誇る若手の俳優。16歳の時にベルギー出身の監督ダルデンヌ兄弟がプロデュースした『Le soleile assassine(太陽の殺人)』の作品にて大役に抜擢。この作品でベルギーのアカデミー賞、ジョゼフ・プラトー賞で最優秀ベルギー男優賞にノミネートされ、アメリカからもオファーがあるほど、現在欧米各国から注目が集まる期待の俊英だ。

本作は、女性監督らしい繊細なタッチと、力強い演出で、子どもの取り違いから発生した、工作する家族の生き様を活写。パレスチナ人でも、イスラエル人でもない、フランス人と言う客観的な視点から描かれた本作品。もしもどちらかの視点で、物語が描かれていたら、偏ったメッセージを孕む作品になっていたでしょう。監督自身が、中和的な立場でいたからこそ、私たち日本人も感情移入できたのでしょう。また、ある新聞記事の切れ端に、本作のコラムが掲載されていた。その中には『撮影スタッフのクルー達は、イスラエル人とパレスチナ人が集められました。彼らは撮影当初こそ、身内同士で固まって行動していたが、撮影期間の終盤には、互いの問題や紛争について話すようになり、今目の前に直面している問題を映画を通して真っ向から考えるようになった』と言う記述があった。一つの事柄を通して、人々の心が動かされる様に、私はいたく感動したことを覚えている。

もうひとりの息子 感想まとめ

題材が題材だけに、とても重く悲しい作品ですが、観る者の価値観が問われる作品でしょう。多くの世代の人々にも観て欲しい秀作です。何度も比較してしまいますが『そして父になる』では、どちらかと言えば、子どもの年齢が年少なだけに、親目線で物語が語られていますが、本作『もうひとりの息子』ではもうすぐ成人する年齢の子どもたちの葛藤を描写する点は、同年齢の私でも感情移入してしまう。もし彼らの立場なら、一体どのような態度を取るのか、どのように現実を受け入れるのか、私でも分からない事実に、映画の中の二人の主人公は、直面します。ラスト、ヨセフは小高い丘に座り語ります。『僕は君の人生を歩めたかもしれない。でも、僕は思う。歩み始めたこの人生を、君のためにも成功してみせる。僕の人生を歩む君も同じだ。必ず成功しろよ。』と…。まるで“もうひとりの自分”に誓い、また自分自身への決意にも受け取れます。様々な葛藤を乗り越え、最後に辿り着いた真実の答えに、私たちはきっと真の希望を見ることが出来るのではないでしょうか?

世界がひとつになれる希望の光
 wac***** さん  2015年6月28日 8時56分
どこの国の人も親は子を愛し、また国を越えて愛情を育めると思える、あたたかい映画。「そして父になる」と設定は似ているが子供の年齢が違い、こちらはより子供自身の心の動きに焦点が当たっている。世界の子供たちへの讃歌であり人種や宗教で分かたれているこの世界がひとつになれると思えるような映画。

かすかな希望  文字読み さん
 2014年10月13日 1時35分
国や民族の「自然」さを基にしたアイデンティティから、育った環境や人間関係によって「構築」されるアイデンティティへと移っていくことの困難さ、という話。ひとりひとりの意志によって「構築」するアイデンティティによって、困難なパレスチナ問題にかすかな希望を残そう、と。イスラエル軍の大佐だという主人公の父親も、最後には国から個人へと軸足を移している。

どちらのサイドでもない公平な立場をとることがきわめて困難な状況において、どちらかのサイドであることができないことを強いられる、ということに可能性を見出す逆説的な設定。取り替え子にしか託せない希望。それほど困難な現実。アラブ人として生まれてイスラエル人に間違えられて育てられた主人公の青年の無垢で済んだ瞳

画『もうひとりの息子』が無料 で視聴 ⇒こちら(U-NEXT)

*なお上記の映画の紹介はネットから編集したものです。
コメント  
On Fri, 28 Apr 2017 18:38:30 +0900 大脇 <junowaki@able.ocn.ne.jp> wrote:

敬愛する同志の皆様、大脇です。
『漢江から還る』の原作をいかにヒットされるか、昨日みた中東紛争解決の糸口
を示唆する『もうひとりの息子」映画は、朝鮮半島に平和もたらす道としてよい
メルクマールとおもいます。30日間無料で視聴できます。

問題解決の道を映像、芸術に問うことは重要です。先日、芹沢光治良の文学の世
界をご紹介しました。

 人情の流れの自然さはリアルと感じさせられる迫力がある。この映画も
ドキュメンタリーではないのに、真実味にあふれて迫ってくるのは、人の情の自然
な流れを見事に表現しているからです。さすがに2012年グラプリを受賞しただ
けはあるとフランス系ユダヤ人ロレーヌ・レヴィ監督の見事な表現力に感動した。
 今、小生は『漢江から還る』という自叙伝のコピーを預かっている。
事実を普遍化、芸術作品にまで昇華する必要性、ロレーヌ・レヴィ氏のような立派な
監督を探しことの重要性を教えらえました。

 韓国動乱に始まる過酷な環境を乗り越える家族愛の物語、誰しもその深い情
愛と数々のドラマに胸の動悸の高鳴りと涙を禁じえない。
そして昨日の映画と同じく、18歳にして主人公、李孝一は自分が日本人であ
ることを知って愕然とする。「血は水よりい」と言われるが、地よりも濃いものがある。
それはこの天地に満ち満ちあふれる神の愛(真の愛)である。
そろそろ人類はこのことにきずくべき時が来ているように思われる。そしていか
なることもこの真の愛に振り向き、焦点をあわせることが何よりも大切と思う。
 54年前、4年間の求道の末、突然であった真の愛(無限の光、親の情)、
小生はこれを証する真理を得た喜びに、我をわすれてこの半世紀一身不乱に
行動してきた。
 しかしこの真の愛とともに歩むことを仰ぎ見ながらも遠かったこと
を反省している。いかにこの宇宙はこの地球は、人々の生活、森羅万象は神の愛
に向かってむかっていることであろうか!
 今、真の人として自立すること、真の人々とのまごころ(真の愛)のネット
  ワーク、そして勇気ある果敢な行動が必要な時です!
 先日朝鮮半島と中東の和平について友と語らいました。「旧約の中東紛争、
新約の南・北米の対立、現代(成約)の朝鮮半島の統一、これらの歴史的紛争の解怨、
釈放、平和統一、この歴史的悲願を成し遂げるべく環境、事情の相違を超えて、団結して
やろう!」と誓い合いました。
        2017年 4月16日 大脇 拝