第24回地球市民フォーラムのご案内
    
 「国連OBは何ができるか?」

拝啓、大型連休も過ぎ、空の青さと新緑の香りの漂うこの頃、皆様におかれまし
ては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、世界の中での日本の役割の重要性を痛感する私たちは、NGOネットワー
クの形でで“市民国連”を結成し、共にグローバルな課題解決に挑戦してきまし
た。

この3月、長年国連に勤務されたOBによる会が結成されました。今回その初
代会長に就任された伊勢桃代先生はじめ、今も国内外を奔走されている廣野良吉
先生、国連とNGOとの連携に腐心されている久山純弘先生らに問題提起をいた
だくことと相成りました。国際経験豊かな諸先生方が本気で燃焼されたら、国連
も日本も、そして世界が変わること必定でしょう。

自然環境、社会環境、精神環境いずれをとりましても既存のパラダイムの行き
詰り、大転換期にあります。今、自分のために生きる個人・自由・民主主義オン
リーから利他的・共生・共栄主義との融合が問われています。日本でも報酬を前
提としたビジネスオンリーから無償のボランティアとの共存が段々と形になりつ
つあります。人間の生きがいや感動は、より後者の他者を喜ばせる(愛に生きる)
ことにあるので当然の成り行きとも言えしょう。

国連OBの諸先生方の驥尾に伏して、共に日本と世界のために活動したいとの
抱負をお持ちの皆様の、積極的ご参加をお待ち申し上げております。

2012年5月吉日         
                     地球氏民機構理事長 福岡克也

               記

と き:平成23年5月27日(日)午後2時半〜5時

ところ:地球市民機構会議室(ロータス・ステータスビル6階)

     〒164-0003 東京都中野区東中野2-22-21, 6F
     Tel:03-3360-2021 Fax:03-3360-2022
     アクセス⇒ http://www.e-gci.org/access.html

テーマ:「今、国連OBは何ができるか?」

  基調:伊勢 桃代(学校法人 AICJ鴎州学園(中高一貫教育)理事長)

  コメット1:廣野 良吉 成蹊大学名誉教授
  コメント2:久山 純弘(前、国連大学客員教授) 
           ブレイク(15分)             

 自由討議(4時〜5時、オブザーバーも討議に参加できます。)


主催:地球市民機構(GCI“市民国連”) 協力:NGO・NPO諸団体

参加者:20名以内
(10名程度のオブザーバー公募)

参加費:オブザーバー:2,000円、
NGOの方:半額可 (要:所属NGO団体の会員証提示)

申し込み:お名前、ご所属、連絡先、メールアドレスを明記してメールまたは 
Fax、電話で下記までご一報お送り下さい。


大脇書斎 Tel & Fax: 0422-26-7980、 携帯1:070-6476-0076 
〒181-0001三鷹市井の頭2-26-35-120、
E-mail; junowaki@able.ocn.ne.jp,  携帯2:080-3350-0021 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ご 参 考 ま で に 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

◎当日、ご参席の有無に関わりませず、「何のために、何を、いつまでにやるのか?
 目標をどこに絞るか」等につき、ご意見をお伺いできれば幸いです。会議後
 の感想等も歓迎すます。


討議資料:2008年夏、伊勢先生を中心に池亀、柴田、黒河内、山元、一色先生らが
  まとめてくださった地球市民機構の趣旨文 ⇒ http://www.e-gci.org/concept.html

◎この「我々は何を為すべきか?」シリーズは今回で4回目です。
  第1回 ⇒ http://www.e-gci.org/20110419.html

伊勢 桃代 氏:略歴:1937年京都生まれ、慶應大学卒業後、シラキュース大学大学院修士。
 1969年国連本部に勤務、1985年国連本部研修部部長、1988から89年国連大学事務局長、
 1997年国連退職。1997年から2004年アジア女性基金専務理事。 
                              http://www.e-gci.org/11gci/ise/Ise.html
 第78回未来構想「これからの市民運動」  http://www.owaki.info/78mirai/78mirai.html
 第60回未来構想 「国際的リーダーの育成」 http://www.owaki.info/60mirai/ise.html

廣野 良吉 氏:1931年生まれ。アメリカ・シカゴ大学大学院経済学研究科卒業。
 1961年)より成蹊大学に奉職。経済学部教授、国連アジア太平洋経済社会委員会
 開発計画部長、国連開発計画事業政策評価局長等を経て、国際連合開発政策委員会
 議長、外務省無償援助懇談会委員、外務省援助評価委員会委員、外務省ODA懇談会委員、
 国際開発学会会長、モンゴル開発政策支援グループ座長、国際開発高等教育機構評議員、
 日本評価学会副会長なども務める。 http://www.e-gci.org/14gci/hirono/Hirono.html

久山 純弘 氏:1936年岡山生まれ、東京大学・上智大学大学院を卒業後、
 経済企画庁、UNDP(国連開発計画)等を経て、1975―1984年外交官として日本政府
 国連代表部、その間、国連行財政諮問委員会メンバー(1979−83年), 国連総会
 第5委員会議長(1983年)を兼任、1984―1993年国連事務次長補(国連ハビタット
 事務次長)、1994年JICA,1995―2004年,JIU(国連システム行政監視機構)委員
 (委員長職も含む)。2005年、長年、国連諸活動に貢献したことにより、外務大臣
 表彰状を受賞。  久山サイト http://www.e-gci.org/kuyama/kuyama.html
                 「明日の日本と世界の構築に向けて」 2011.11 岡山朝日高校

市河 政彦 氏(地球市民機構常務理事,元創価学会本部理事)より、「池田大作
 創価学会SGI会長の国連改革への提言につき、国連OBの皆様のご意見をお聞きしたい」
 との要望がありました。学会本部国際局のご協力により以下リンクを這っていますのでご
 一読くだされば幸いです

池田会長の国連への提言:「生命尊厳の絆輝く世紀を」 (2012.1.26)

 世界的危機を乗り越えるため「人間の安全保障」の理念が重要。民衆の幸福と安全を第一とする
 思想≠通しながら、一人一人が「生きる希望」を取り戻せるよう、励まし続けることが重要。

 「自他共の幸福」を願う対話こそ、時代の閉塞感を打ちl破る力。災害に苦しむ人々の人権を守る国際
 枠組みの整備や、防災や復興において女性の役割が重要。環境問題に関連し、「持続可能な未来」を
 築くための新たな人類共通の目標の制定を提案。原発に依存しないエネルギー政策への転換を早急に
 検討する必要がある。「原水爆禁止宣言」現代的意義、有志国とNGOが中心となった「核兵器禁止条約
 のための行動グループ」(仮称)の発足を提案、青年を先頭にしたグローバルな民衆の連帯を広げながら、
 「核兵器のない世界」の実現を目指すべき。
       全文はこちら⇒ http://www.sokanet.jp/sokuseki/koen_teigen/teigen/sgi2012.html

「世界が期待する国連たれ!地球平和の基軸・国連の大使命に活力を!」 (2006.8.30)

 「戦争の文化」から「平和の文化」へと転換、グローバルな「対話の場」としての国連の使命を
 力説。核軍縮・核廃絶、青年の参加、世界の諸大学とのネットワークの形成などをテーマに諸改革を
 提唱。 全文はこちら⇒ http://www.sokanet.jp/sokuseki/koen_teigen/teigen/kokuren.html

池田会長の提言に対する識者の感想はこちら⇒
  同志社大学大学院教授 峯陽一氏   成蹊大学 廣野良吉名誉教授 
  IPS名誉会長 ロベルト・サビオ氏    島根大学 平塚貴彦名誉教授    
  広島修道大学 城忠彰教授 

内部被爆測定機(ウクライナ国家プロジェクトで開発)が日本へ上陸、病院等には
 無償で貸与します。当日、アレクサンドル・セルバン氏(ルーマニア観光局。
 ジャパンプロジェクト代表)も参加予定。 
         詳細⇒ http://www.e-gci.org/antidona/antidona.html



「 “資本主義以後の世界”とは、どんな世界なのか 」}    2012.01.20

          三菱UFJリサーチ&コンサルティング 理事長 中谷 巌

 日本はすでに「失われた20年」を経験したが、欧米諸国はこれから日本の後
追いをしそうな状況にある。 資本主義世界が行き詰まっている最大の理由は、
「フロンティアの消失」である。第一に、第二次世界大戦後、多くの植民地が
独立したことで西洋列強にとって収奪可能な「地理的フロンティア」が消失し
た。第二に、ここ30年ほどの間にアメリカが創出した利潤を生み出す打出の小
槌としての「金融フロンティア」がリーマン・ショックやユーロ危機で大幅に
縮小した。第三に、環境破壊の拡大によってこれまで人類が好き放題に搾取し
てきた「自然フロンティア」が消失しようとしている。これらが先進資本主義
国の潜在成長力を大きく低下させた。わずかに残されているのは、インターネッ
トを媒介にした「バーチャル世界」というフロンティアである。しかし、これ
が成長にどの程度貢献するのか、今のところ明らかではない。

 成長のためのフロンティアが消失した上に、世界的な財政収縮が起こるとす
れば、世界景気は当分の間、悪化せざるを得ないだろう。ユーロ危機の解決策
も究極的には財政規律の回復に依らざるを得ず、もし多くの国が一斉に緊縮政
策に転換すれば、世界的な需要の収縮を招き、場合によっては大恐慌をも招き
かねない状況である。

 また、資本主義世界が行き詰まったために、かつてはそれなりの規模で存在
した貧困層に対する所得再分配の余裕が多くの国においてなくなってしまった。
このため、ウォールストリートを占拠した「99%対1%デモ」を始め、世界的な
広がりを見せた厳しい富裕層批判も容易には収拾がつかなくなっている。

 このようなグローバル資本主義の危機を克服するには、おそらくは早晩、
「文明の転換」が不可避になるであろう。「文明の転換」というからには、資
本主義の前提となる「あくなき資本の自己増殖」を許容する思想に対しては一
定の制約が加えられるべきであろう。たとえば、グローバル資本の投機的取引
を規制することが必要になるだろう。グローバル資本が瞬時に世界中を動き回
る自由を許容し続けるならば、恒常的に発生する金融危機を押さえることは不
可能だからである。

 しかし、グローバル資本の投機的取引制限については強力な反対勢力が存在
する。グローバル資本は自由な取引によって利益機会を拡大しているわけであ
り、それが制限されることについては強力な反対運動が展開されるはずだから
である。とくにアメリカやイギリスでは国家と金融資本の結びつきが強く、こ
れらの国々が金融規制に賛成するとは思えない。しかし、希望が全くないわけ
ではない。それは今後も金融危機が頻発し、世界経済の根幹を揺るがすような
事態が続けば、投機的取引規制論が勢いづくことも十分あり得ることだからで
ある。また、伝統的にアングロサクソン流のレッセフェールに抵抗感のある
日本やドイツ、フランスなどが投機的取引規制の推進勢力になる可能性も
ないわけではないし、むしろ日本はその先頭に立つべき立場にあると思う。


 また、グローバルな競争激化が不可避的に生み出す所得や富の偏在を是正す
るには、市場での取引から実現する資源配分のみを「正義」と見なす「交換の
思想」を改め、人類が昔から持っていた「贈与の思想」や「互助の思想」への
転換が必要になるだろう。
これは、利己的な欲望の追求を認めてきた西洋近代
思想に対して、根本的な価値観の転換を求めるものである。人間はいつ、利己
的な欲求追求の手段としての市場至上主義を修正し、利他的な「贈与の精神」
が組み込まれた社会システムに回帰できるのであろうか。
 もう一つ、「資本
主義以後の世界」を構築する上で必要になるのは、何事も技術によって解決で
きるとする「過剰な技術信仰」や「自然は人間が管理すべきもの」という西洋
的な自然観を改めることである。人間が自然の恵みに対してもっと「敬虔かつ
謙虚」な気持ちを持つという意味での「自然観の転換」である。これがない限
り、地球環境破壊はとどまるところを知らず、原子力のような人間が住む「生
態圏」の中では制御不可能な技術に人間が振り回される状況が続くことになる
だろう。

 「文明の転換」は確かに容易になし得ることではない。我々が慣れ親しみ、
日常、当たり前だと信じている思想様式や行動様式を覆すのが「文明の転換」
であるとすれば、それは想像を絶する困難を伴うに違いない。現実主義者が、
価値観の変換を必要とする文明論的なスケールの解決策を非現実的と考えるの
は当然であろう。

 しかし、それでもなお、今日の資本主義世界の閉塞状況を見れば、いずれ
「文明の転換」が必要になることは間違いない。問題はそれがいつのことにな
るのかということだ。それはすぐそこに迫っているのか、五○年も先のことに
なるのか。 これは誰にも正確に予測することはできないが、世界経済の現状
を見れば、いずれ「資本主義以後の世界」が訪れることは確実であり、そのと
きには、否が応でも我々の価値観の転換が不可避になる。その中身がどのよう
なものになるのか、正直言って、あまりにも複雑な問いであり、正確に見通す
ことは難しい。しかし、世界経済の混迷ぶりを見るにつけ、我々はそろそろこ
の困難な問題に目を背けることなく、正面から立ち向かっていく覚悟が必要な
のではないだろうか。

中谷 巌 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 理事長
一橋大学経済学部卒業。ハーバード大学Ph.D(経済学博士)を経て、大阪大学経
済学部教授、一橋大学商学部教授を歴任。現在、三菱UFJリサーチ&コンサルティ
ング株式会社 理事長 。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社のホームページから抜粋引用

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「贈与の歴史学 ─ 儀礼と経済のあいだ ─ 」 桜井 英治 著

贈与は人間の営む社会・文化で常に見られるものだが、とりわけ日本は先進諸国
の中でも贈答儀礼をよく保存している社会として研究者から注目を集めてきた。
その歴史は中世までさかのぼり、同時に、この時代の贈与慣行は世界的にも類を
見ない極端に功利的な性質を帯びる。損得の釣り合いを重視し、一年中贈り物が
飛び交う中世人の精神を探り、義理や虚礼、賄賂といった負のイメージを纏い続
ける贈与の源泉を繙く
。       2011/11/25 新書判248ページ 定価840円

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「愛と恐怖の経済 ─ 贈与の経済学序説」
     ケネス・E・ボールディング(著)  公文俊平(訳) 佑学社

 「交換」とは、当事者双方が「財」を相互にやりとりすることであり、理論的には「等価な財」同士が交換されるため、双方とも「財の所有総量」は変化しないことになっています。
 これに対して、「贈与」とは、一方から他方へ代価なしに「財」が移転することであり、一方では「財の所有総量」は減少し、他方では「財の所有総量」は増加します。

 一般に、「経済学」が対象とするのは「市場」であり、そこで行われる経済行為は「交換」とされています。 しかしながら、現実の経済や社会を分析する際に、「交換」だけに着目するのでは片手落ちであり、「贈与」も視野に入れた経済学こそが必要だというのが、この著者の主張です。

 特に面白いのが、分析の「理念型」として、「愛」に動機付けされた「正の贈与」(他者の幸福増加による心理的満足を求める行為)と、「恐怖」に動機付けされた「負の贈与」(暴力に裏付けられた脅迫に対する自己の不幸回避を求める行為)に大別したり、「政府による税の徴収」は両者の混合だと分析したりしている点です。

 実際、一般道路や街灯など、対価を支払わなくても利用できる「公共財」を作るための「税の徴収」は、「社会全体のため」という「愛」と「強制執行による財産差押を回避したい」という「恐怖」との両方の動機付けが存在している訳で、「市場」を越える社会全体の分析に色々と応用が効きそうな概念だと思います。

 そういう意味では、常に経済合理的に判断・行動する「経済人」(けいざいじん:“Homo Economicus”を前提せず、「情報の不完全性」や「情動の非合理性」等を考慮に入れた、最近流行の「行動経済学」の先駆的試みと言えるでしょう。 ただ、個人的には、モースやマリノフスキー等の人類学的研究に論及するのであれば、カール・ポランニーに代表される「経済人類学」の議論なんかも絡めて欲しかったです。

     「雑想録」より抜粋引用       1974年初版