ルイス・C.ティファニー庭園美術館は、平成19年3月31日をもちまして閉館させていただくこ
ととなりました。当美術館がオープンして6年で閉館となりますことは、何故6年で閉館するのか
と疑問に思われたり、また当方の信用にも係わることでありますので、当方がやむなく閉館せざ
るを得なくなった原因を記述させていただきました。

1.信頼関係を壊す     

美術館のオープン間際に、NHK松江放送局の記者は、当方の美術館のことに関し、当事者の一方で
ある当方には一度も取材しないで、現松浦市長らのみの取材をもとにして当方に関することを4回
にわたり、NHK松江放送局のテレビニュースで事実と相違することを報道したのが事の始まりです。

 NHKの報道があってから、12日後に地方紙の山陰中央新報、島根日日新聞が、その1日後に全国
紙の朝日新聞、讀賣新聞、毎日新聞、そして、地方大手紙の中国新聞が、まるで申し合わせたか
の如くNHKと同じように当事者の一方である当方に一度も取材することなく、取材の原則であるべ
き裏付けをとることもしないで、一方的に事実と相違する報道を暫く続けました。その後、当方
に新聞社の取材が一斉に始まりました。

 前述の報道があってから、現市長は、当方に対し、「堀内家及び堀内不動産株式会社並びにグ
レコ・コーポレーション株式会社の名誉を深く傷つけたものであり遺憾の意を表するものでござ
います」と、書面で当方へ陳謝しました。しかしながら、その後も現市長は、事実と相違するこ
とを幾度も市議会などで発言し、現市長と当方の信頼関係は壊れました。現市長は、陳謝後も事
実と相違する発言をしていることから、今後も同じことが繰り返される恐れがあります。

2.美術館の基盤を壊す  

  美術館は、先ずその地域の人々に愛され、支持されてこそ維持することができるものです。と
ころが、現市長は、このことを判っていながら、こともあろうに、美術館のオープン間際にマス
コミを利用し当方のイメージを損ね、地域の人々に誤解を与え、美術館離れを誘発しました。現
市長は、この一番大切な根幹をなす美術館の生命ともいえる基盤をオープン間際に壊しました。
現市長は、傷つけた当方の企業イメージを回復するため、市議会や記者会見で真実を話し全貌を
明らかにしておりません。

3.諸約束事の反故  

  前宮岡市長は、当方に松江市・湖北地区の宍道湖畔に美術館建設を懇請され、その時、集客の
一環として「出雲空港〜ルイス・C.ティファニー庭園美術館の間に高速船を就航させます」など
の諸約束事をしました。ところが、前市長が任期中に急逝され跡を継いだ現市長は「(うちの職
員が)できもしないことを約束した」と切り捨て、「高速船の就航」、「美術館前の宍道湖に噴
水の設置」、「集客の約束」などの諸約束事を反故にしました。現市長は、諸約束事を放置し、
実現に向けての努力と誠意ある対応が全くありません。

4.借り上げ方式を強いる  

  美術館のオープン直前に、現市長は、「松江市が美術館を無償で借り上げて公の施設とする。
美術館の管理はそちらで行い、市は業務費として美術館の入館料を支払う」と、当方に迫り、更
に「この借り上げ方式の契約を締結しないと美術館のオープンは認めない」と、当方の美術館経
営に制約となる契約を当方に強いました。

 松江市が当方の美術館を借り上げたことにより、美術館経営の裁量権は松江市に移管となり、
当方は入場料の改定や旅行代理店様などの入場料の割引の取り決めにも制約を受けることになり
ました。松江市は、割引入場券の発行も拒否したため当方は、自由に発行できませんでした。ま
た、当方所有のパブリック・スペースさえ自由に使用できない市条例をつくり、集客活動に悪影
響を与えていることを判っていながら、現市長は借り上げ方式の改正を行いません。

5.入場方式の改正を拒否 

  現状の入場方式は、松江市のイングリッシュ・ガーデンと当方のルイス・C.ティファニー庭園
美術館の一括入場となっており、それぞれの施設だけに入場することはできません。

 当方は昨年、オープンから5年経過しようとしているこの機会に、ご来場者をはじめ、松江市民
団体や松江商工会議所などが要望された入場方式、「イングリッシュ・ガーデン、またはルイス
・C.ティファニー庭園美術館のそれぞれの施設だけでも入場できる方式」に改正を松江市に求め
ました。これに対し、松江市木村観光振興部長は、本年3月3日付の文書にて「入場方式を変更す
ることはできない」と応じず、現市長は、それより前に「改正する考えはない」と応じませんで
した。

 現市長は、地域の方々の要望や集客のためにも、それぞれの施設だけでも入場できるように入
場方式を改正する必要があることを判っていながら見直しも行わず、誠意ある対応も全くなく先
行きに明るさがありません。
 当美術館がオープン間際から6年間、苦悩の中で耐えてきましたが、この度、やむなく閉館せざ
るを得なくなった原因は前述の通りであります。
                                    以上


表示板設置後のお客さまの声の開示について

 平成19年4月1日以降ご来館予定のお客様にご迷惑をおかけしないよう、本年11月11日、「美術
館の閉館及びその原因について」の表示板を当方所有の美術館の壁面に設置しました。 この表
示板に対し、松江市長から「入場された観光客の施設に対する印象を損なう」ので撤去を求めま
すと記述された書面が当方に送られてきました。表示板設置後の「お客さまの声」11月分及び12
月分を開示させていただきます。

お客さまの声11月分(No.1〜No.22)
● NO.1 11/7 承り場所:もぎり
トイレットペーパーが硬すぎる。(管理事務所側トイレ) [ 50歳代・女性 ]

● NO.2 11/9 承り場所:電話応対
ステンドグラス制作をされている方で、仲間の方から美術館が閉館するとお聞きになり、お電話
をいただきました。「4月以降は今のところ未定」とお伝えすると、とても残念がられました。以
前に来館いただいたこともあり、とても素晴らしく感動されたそうです。4月以降もどこかで作品
を見せてくださるよう期待しています、とのことでした。 [ 60歳代・女性 ]

● NO.3 11/10 承り場所:受付
「あまりにも素敵でまたぜひこちらに来たいと思います」と仰っていました。[ 50歳代・女性 ]

● NO.4 11/13 承り場所:受付
本当に3月31日で閉館なんですか。もったいないですねー。こんなに素敵な美術館なのに。どこに
言えば、なくさないようにしてくれるのかしら。市役所へ言えば良いんですかね。本当に3月31日
までなら、それまでに絶対又来ます。[ 50歳代・女性 ]

● NO.5 11/14 承り場所:美術館入口
「NHKの真実と相違した報道」とは何なのか書いて頂きたいですね。意味が良くわかりません。
[ 50歳代・女性 ]

● NO.6 11/14 承り場所:受付
「素敵な美術館ですね!!」と何度も仰っていました。「評判を聞いて岐阜から来ました。こんな
素敵な美術館があったなんて。もっと早く来たかった」[ 60歳代・女性お二人・岐阜 ]

● NO.7 11/14 承り場所:受付
「松江に来るのは今回で3回目ですが、こんな素晴らしい美術館があることを初めて知りました。
世界一の美術館を手離すなんて…。本当にもったいない。福井に帰ったら皆にティファニー美術
館のことを紹介します。また皆を連れてきますね。[ 70歳代・女性・福井 ]

● NO.8 11/15 承り場所:受付
美術館内でフラッシュをたいて写真を撮っているお客様がたくさんいたので、注意しましたが、
やはり写真を撮っているお客様がいらっしゃいました。と報告して下さいました。[ 60歳代・女
性 ]
● NO.9 11/17 承り場所:もぎり
こんな良い施設、閉館なんて本当にもったいないね。新しい市長は馬鹿だね。大阪市民も怒って
いると必ず上の人に伝えておいてね。[ 50歳代・男性 ]

NO.10 11/17 承り場所:受付
「ここ閉館になるんだって!? だから出来たときから言っていたのに。こんなに素晴らしい美術館
なのに…。私の妻は今日で7回目。こういうリピーターが大事。しかし建てたからには続けないと。
数年でやめてしまうなんてみっともない。建築に携わった人や従業員の気持ちをわかっていない。
自分は建築関係だが、ここは本当に良い物を使っているし、建てた人達は大変な苦労をしたはず
だ。その人達の苦労が報われない。本来20年でも30年でももつ建物なのに」とご立腹でした。奥
様は「3月までにまた来ます」と仰っていました。[ 50歳代・ご夫婦 ]

● NO.11 11/20 承り場所:インフォメーション
旅館を経営していますが、敷地内で美術館を計画していて2007年12月オープン予定です。展示は
日本の焼き物と日本画ですが、今日はこの美術館で大変勉強になりました。[ 50歳代・男性 ]

● NO.12 11/23 承り場所:もぎり
とても素敵なところですね。もう一度来なくてはなりません、と感動され仰っていました。
[ 50歳代・男性・韓国 ]

● NO.13 11/23 承り場所:もぎり
「3月で閉館ですか?」と驚かれ、「とても素敵なところですのに、もったいないですね」と仰っ
ていました。[ 50歳代・女性 ]

NO.14 11/23 承り場所:受付
「閉館されるんですね。残念です。『閉館の理由』のパネルを見ると涙が出そう…」と目に涙を
浮かべていらっしゃいました。「がんばってください」と仰って下さいました。[ 30歳代・女性
・静岡県 ]

● NO.15 11/24 承り場所:もぎり
3月で閉館となるのですか…? とても残念です。この先、どちらに移転されるのですか? 等質問さ
れました。素晴らしいのにとても残念です。と仰っていました。[ 30歳代・女性 ]

● NO.16 11/24 承り場所:電話応対
「本当に3月に閉館されるのですか?とても素晴らしい美術館ですのに…とても残念です。また3
月までに必ず来ます!」と目を潤ませながら仰っていました。[ 60歳代・男性・奈良県 ]

● NO.17 11/26 承り場所:もぎり 
「本当に3月で閉館なんですか? とても素晴らしいところですのに非常に残念です。何とかして続
けるということはできませんか?」と仰っていました。また、「ステンドグラスが大好きで来まし
た」と仰っていました。[ 70歳代・女性・福岡県 ]

● NO.18 11/26 承り場所:美術館入口
九州から車で来ました。美術館の看板表示が少なくなかなかわからなかった。足立美術館はあち
こちにあるのに、どうしてもっとわかりやすく表示をしてくれないのですか。[ 50歳代・男女お
二人 ]

● NO.19 11/29 承り場所:インフォメーション
入口の閉館案内を見てがっかりした。松江市長と話し合いで、再び開館できるようならないのか?
松江市長はこれだけの施設が無くなってもいいと思っているのか? 館長さんは今後これだけの作
品をどうするのか? [ 40歳代・女性・岡山県 ]

● NO.20 11/29 承り場所:インフォメーション
京都と大阪から5人で来たが、3月で閉館と聞いて残念。これから知人にも良かったとPRしようと
思ったら入口のボードの閉館文章を見てがっかりした。再び開館してほしい。[ 50歳代・女性・
京都府 ]

NO.21 11/29 承り場所:受付
「この美術館は民間企業の運営なのですか? 素晴らしいですね!本当に素晴らしいスケールで感動
いたしました。ますますのご活躍をお祈り致します。と仰っていました。[ 50歳代・男性・東京
都 ]

NO.22 11/30 承り場所:もぎり
とっても素晴らしかったです。閉館はとても残念ですね…。と仰っていました。作品の素晴らし
さに大変感動されていらっしゃいました。[ 60歳代・女性 ]


お客さまの声12月分(No.1〜No.19) 

● NO.1 12/1 承り場所:カフェ
「サラダを食べに来たのにメニューから無くなっていてとても残念だ。」と繰り返し仰っていま
した。ぜひ上の人にも伝えてほしいとの事でした。 [ 30歳代・女性 ]

● NO.2 12/4 承り場所:受付
閉館すると聞いてあわてて来ました。初めてだったのですが大変素晴らしいですね。本当になく
なってしまうのですか。どうにかならないのですか。もし移転などがあれば、どこでそういう情
報を得られますか。 [ 20歳代・女性・奈良 ]

● NO.3 12/6 承り場所:もぎり
とっても素敵なところですのに、閉館とは残念ですね。この松江市という地方にあること、そし
てまた美しい宍道湖があり、とても趣きがあり価値がありますのに、と仰っていました。 [ 60歳
代・女性・姫路 ]

● NO.4 12/7 承り場所:展示棟階段
作品のあまりの素晴らしさにエネルギーを取られてヘトヘトになりました。私は画家ですが、あ
のステンドグラスの色はなんとも言えません。どうしても一度訪れたい場所でした。 [ 50歳代・
女性・東京 ]

● NO.5 12/7 承り場所:もぎり
一度来たことがありますが、とっても素晴らしかったのでまた来ました。3月末に閉館とはとても
残念でなりません。何とかして存続という形にはなりませんか? [ 60歳代・女性・京都 ]

● NO.6 12/8 承り場所:電話対応
10月にお越しいただいたお客様が、3月末に閉館するとお聞きになり、確認のお電話をされました。
「3月31日で閉館します」とお伝えすると、とても残念がられた様子でお話されました。「10月に
行ったときには美術館前はお花がとても綺麗に咲いていたのに、イングリッシュガーデンはお花
があまり無く、写真も撮れず残念でした。3月末までにはもう一度行かせて頂きます。」と仰って
いました。 [ 30歳代・女性・京都 ]

● NO.7 12/9 承り場所:レジ
(大変驚いた様子で)3月末で本当に閉館するのですか? とても残念ですね。また必ず来ます!
[ 30歳代・男性・広島 ]

● NO.8 12/9 承り場所:もぎり
こんなに素晴らしいルイス・C.ティファニーの作品の数々を見せて頂けるのはここだけですね。
一生に一度見られるかどうか…と思われるほど、本当に美しく感動致しました。本当に3月末で閉
館になるのですか? 大変残念なことですね。 [ 50歳代・男性・女性・島根 ]

● NO.9 12/10 承り場所:もぎり
これだけの素晴らしい作品の数々に大変感動いたしました。足立美術館に劣らない本当に美しい
美術館だと思います。もっと宣伝され、この美術館の良さをアピールされたら良いと思います。3
月末で閉館だなんてとてももったいないです。もっと島根県の皆様がこの美術館をずっと存続で
きるように運動すべきではないでしょうか? [ 60歳代・女性お2人・京都 ]

● NO.10 12/13 承り場所:エントランス
この場所、この空間が大好きでショップ・カフェにはよく来ます。本当に閉館ですか。本当に松
江から無くなるなんて信じられません。海外から友人が来た時も驚いていました。どうしてこう
いう事になるのか誇りに思っている松江市民がいることを忘れないで下さい。 [ 30歳代・女性・
松江市 ]

● NO.11 12/13 承り場所:もぎり
友人から聞いてこちらに来ましたが、友人が言うとおり本当に美しい作品の数々に感動しました。
3月末閉館とは、大変残念です。是非このまま存続していただきたいと願います。
[ 60歳代・女性・熊本県 ]

● NO.12 12/14 承り場所:レジ
3月に閉館してしまうのですか? と驚いた様子で尋ねられました。とても残念ですね。この後どう
なるのですか? と仰っていました。
[ 20歳代・女性 ]

● NO.13 12/12 承り場所:電話対応
こういう文化施設を簡単に無くしてしまう市政の気持ちが分からない。これほど沢山の作品を一
度に観られる美術館は他を探してもどこにもない。大変惜しい。今まで何度も訪れているが、こ
れでもう松江に行くことはないだろう。今日閉館を知っていてもたってもいられなくなり電話し
ました。(同様のお電話を他の方からもいただきました) [ 50歳代・男性・富山県 ]

● NO.14 12/16 承り場所:電話対応
大田市の山の世界遺産も良いがティファニーの作品もそれ以上です。それが理解できない松江市
も愚かです。市役所には大分抗議の電話があるようですよ。
[ 60歳代・女性・松江市 ]

● NO.15 12/17 承り場所:レジ
3月に閉館されると聞きまた来ました。ここへは2度目になります。これだけの素晴らしい作品と
建物はこれからどうなるのですか? と大変残念な様子で仰いました。
[ 60歳代・女性 ]

● NO.16 12/21 承り場所:レジ
「とても素晴らしいところですね! 本当に3月に閉館してしまうのですか? もう本当に決定したこ
となのですか? 閉館後、この建物はどうなるのですか? また次の移転先はどちらになるのですか?」
と沢山の質問をされ、美術館が閉館になることを大変残念がっておられました。
[ 30歳代・男性・カナダ ]

● NO.17 12/23 承り場所:レジ
「3月でもう閉館になると新聞で見て今日来ました。これだけの作品をよく収集されましたね。ま
たこれから閉館後はどうなるのですか? 本当にもったいないですね。また何か署名運動等起こさ
れていないのですか?」と仰っていました。
[ 50歳代・女性・神戸 ]

● NO.18 12/23 承り場所:もぎり
このティファニー美術館が大好きで4回目です! と仰っていました。 [ 70歳代・女性・島根県 ]

● NO.19 12/26 承り場所:もぎり
「作品を観て、入館料2千円は安いと感じました。本当に素晴らしい! 日本の宝ですね。閉館しな
いで欲しいです。」とおっしゃっていました。 [ 60歳代・ご夫婦・神戸 ]


美術館の閉館及びその原因について<平成19年3月31日閉館>

  「美術館の閉館及びその原因について」をお読みいただいた方より、「NHKの事実と相違
 した報道とは何ですか」と、お尋ねがあります。また、情報開示が求められている時代背景に
 鑑み、以下にNHK問題を記述いたしました。

                     記

  公共放送機関のNHK松江放送局は、美術館のオープン間際の平成12年8月31日を皮切りに 現
市長らだけを取材し、不可解にも事実誤認のままNHK松江放送局のテレビニュースで平成12年9
月19日までの間に4回に亘り報道したことが、ことの発端です。当時の状況は、前市長が任期中
に急逝され、次の市長が就任して間もなくのことでした。

  NHK松江放送局の記者は、現市長らの一方的な話だけを鵜呑みにして、NHK松江放送局の
テレビニュースで報道しました。当方は、NHKに対し「どうして事実を歪めた報道を当方には
一度の取材もなく一方的に4回も報道したのですか」と、書面にて抗議したところ平成17年2月25
日、NHK松江放送局の放送部長より「NHKとして調べた結果、この件に関するNHKの一連
の報道は、取材した事実に基づき、松江市の対応や手続きに問題があったことを指摘したもので、
事実関係を歪めて報道したことはありません。捏造という指摘もあたらないと考えております」
と、記載した書面が送られてきました。しかし、実際は事実を歪め当方を中傷するようなNHK
松江放送局のテレビニュースの報道です。
以下に詳述いたします。

  最初にNHK松江放送局のテレビニュースで報道されてから、12日後に地方紙の山陰中央新報、
島根日日新聞が、その1日後に、全国紙の朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、そして、地方大手紙
の中国新聞が、少し遅れて産経新聞も報道しました。前記の各新聞社は、NHK松江放送局と同
じように、当事者の一方である当方には一度の取材もなく、画一的な報道をするという、通常あ
りえない報道が暫く続きました。

 
松江市だけを取材し一方的な報道が許されるなら、世論を一方の都合の良い偏った方向へ誘導
することができます。そんなことがまかり通れば日本は平等をうたった民主主義国家でなくなっ
てしまいます。ここ松江では、当事者の一方である当方には取材をしないで裏付けをとることも
なく報道するという非常識なことがまかり通りました。

1. 「資金の目途が立たなかったために、…」との一方的な報道について
 前市政から現市政へと代わって、まだ3ヵ月ほどしか経っていないこともあってか、松江市か
ら当方に、一度も何の話も一切ない時でした。そんな時に突然、当方の信用不安を招くような、
次のことをNHK松江放送局の記者は、テレビニュースで報道しました。

●「資金の目途が立たなかったために…」と、報道しました。

  NHK松江放送局の記者は、NHKのテレビニュースで
「問題となっていますレストランは当
初はガラス工芸美術館を運営する会社が建設することになっておりました。しかし、資金の目途
が立たなかったために、まあ、会社側はレストランは松江市が建設するように強く働きかけてい
まして、松江市はこれを受け入れて、建設を始めたわけなんですよ」
と、当方の信用にかかわる
重要なことを報道しました。

  美術館のオープン間際にNHK松江放送局は、松江市だけを取材して当方或いは取引先銀行に
も取材しないでNHK松江放送局のテレビニュースで、「資金の目途が立たなかったために…」
と、当方にとって許すことのできない非礼極まりない事実と相違する報道をしました。

  話は遡りますが当時、松江市と当方が当市に美術館建設の調印をしてから、1年ほど経過した
頃、日本の経済情勢は様変わりに悪化しました。当方はこの諸情勢の激変に対し松江市に美術館
建設の計画の中止を止むなく申し出ました。当時の都市建設部長は「(出雲空港〜美術館を結ぶ)
高速船は発注済である」と、当方の計画中止の申し出を聞き入れず、「美術館を建設してくださ
い」と、懇願されました。当時の日本は、「貸し渋り」という言葉が生まれ「金融パニック」に
陥っていた時期でした。その後「貸し剥がし」という言葉も生まれるほど、日本の経済情勢は混
沌とし、極めて厳しい時でした。また、この頃、名門の日本長期信用銀行、日本債券信用銀行が
破綻、当方は取引先銀行であるが故に特に強い衝撃を受けました。

  しかし、このような経済情勢でしたが、松江市は当方の再三の計画中止の申し出を聞き入れず
「美術館だけでも建設してください」と、幾度も懇願されました。私ども民間では経済情勢が極
めて厳しい時、健全経営のために大方の企業は状況によっては「撤退」、「計画の中止」、「計
画の縮小」などを決断することは当然のことと言えましょう。

  このような環境でしたが、当方は前市長との約束を果たすため、また松江市より「高速船は発
注済です」と話があったことにも責任を感じ慎重に再検討した結果、
経済情勢を考え計画の縮小をして「誘致いただいた美術館の建設だけなら可能です。
イングリッシュ・ガーデン、レストランなどはできません」と、当時の助役に話したところ「美
術館だけ建設していただければ感謝いたします」と
、当方の計画の縮小案を了承されました。当方はこちらから設置を申し出て松江市とほぼ半々で
設置する予定のイングリッシュ・ガーデンなどを取り止めました。

  イングリッシュ・ガーデンは当方を加えないで松江市だけでつくり入場料を徴収し運営してい
くことになりました。その後、現市長と当方との考え方の違いがあまりにも大きく、当方が松江
市とほぼ半々で設置する予定であったイングリッシュ・ガーデンを取り止めたのは結果的に双方
にとって正解でした。当方は計画の縮小によりレストランを取り止めベーカリー&カフェをつくっ
たり、展示棟の中庭に銘椿を列植したり、エントランス前に花の広場をつくりました。

  事業を行っていく上で経済情勢によっては健全経営のため「計画の縮小」をすることは「極め
て常識的な手法」です。
NHK松江放送局がテレビニュースで報道した「資金の目途が立たなかったために」レストラン
建設を当方は、中止した訳では断じてありません。

  美術館の竣工を目前にして、集客の営業活動を行っている時期に当方を中傷し名誉を著しくお
としめた表現である「資金の目途が立たなかったために…」
というNHK松江放送局のテレビニュースの報道は、当方の信用不安を招くものです。この報道
は、当方が長い社歴の上に築き上げた信用を傷つけるものです。
事業経営をするものにとって「誠に許すことのできない屈辱と不信を招く言葉の暴力」と、言わ
ざるを得ません。この当時、日本の経済情勢は嘗てないほど
厳しい時であっただけに尚更のこと、この暴言は許せません。

 NHKが報道した
「資金の目途が立たなかったために…」が事実であれば、とても次のような
ことはできません。当方はクォリティーの高い美術館をつくる
ため新たに資金投入して美術品をジャポニスムなどの分野まで収集し、美術館延床面積は縮小し
ないで当初の計画4,000uを5,550uに40%ほど増床し、
全身全霊を傾注してオープンしたことも念のため申し添えます。

  《1973年(昭和48)、豊川市周辺で、電車内での女子高生三人の冗談から「地元の信金が危な
い」とのデマが広がり、取り付け騒ぎになったことがある。》と、平成16年12月21日付の中日新
聞・朝刊に記事が掲載されていました。金銭に関わることだけに大変な問題に発展した一例です。
これは今から30年ほど前のことですが、デマがいかに恐ろしいか、当時のことをご記憶の方もお
られるかと存じます。デマですらこの騒ぎです。ましてや今回のNHK松江放送局のテレビニュー
スでの「資金の目途が立たなかったために…」という報道は、特に当時の経済・金融情勢を考え
ると、一つ間違えば当方に大変な事態を招きます。


2. レストラン建設の報道について 
  松江市議会は、松江市のイングリッシュ・ガーデンに併設して、松江市がレストランをつくる
ことを前市長の時に議決しました。

  当時の都市建設部長より、「この地では夜間の営業が厳しく、借りる人がいないのでレストラ
ンを借りてください」と、当方に話がありました。当方は、「地元の老舗の有名店に借りていた
だくのが複合施設の活性化になります」と、松江市にお断りしました。しかし、松江市から再度、
「賃貸条件は、武家屋敷近くの松江市がつくって貸している地ビール館が規模、建設費、内装費
を入れてほぼ同じような金額になりますから、賃貸料は地ビール館と同じ年間2,000万円です」と、
当方に話がありました。当方は、「レストラン部分が空室では複合施設のコンセプトを変えざる
を得ないので、施設全体のことを考えレストランを借りることをお引き受けします」と、当時の
都市建設部長に答えました。そして、松江市は、高名なデザイン会社にレストランの内装設計を
発注し、松江市より「オペレーション(厨房・メニュー計画)を提出して欲しい」との要望があ
り、当方は諸準備を進めオペレーションを松江市に提出しました。

その後、レストラン建設を現市政になって取り止めるなら、先ず当方に話があって然るべきです。

ところが、松江市から事前に当方に何の話もないのに突然、市民感情を煽るような、次のことを
NHK松江放送局の記者は、テレビニュースで報道しました。

 当時のテレビ報道の内容をそのままお伝えすると、次のような情景となります。

(1)「あの〜、レストラン建設っていうのは、まあ、あの〜、利益を生むための事業、つまり
   一部の会社が儲けるための事業に、まあ、税金を投入するわけにはいきません」
と、報道
   しました。

(2)
「会社側はレストランは松江市が建設するように強く働きかけていまして、松江市はこれ
   を受け入れて、建設を始めたわけなんですよ」
と、報道しました。

(3)
「運営会社のために松江市がレストランを建設したり、…」 と、報道しました。

(4)
「湖北芸術文化村の建設をめぐっては、民間企業が経営するためのレストランを松江市が
   税金で建設していたことが明らかになったり、…」
と、報道しました。

(5)
「松江市が今回みたいに会社側に振り回されているような印象は拭えません」 と、報道し
   ました。

  当方が税金を食いものにしているようなことをNHK松江放送局のテレビニュースで報道し当
方の信用を傷つけ、地域の人達に誤解を与え美術館離れを誘発しました。己れの職務を逸脱した
無責任極まりないことを報道したのです。NHK松江放送局の記者は、前市長の任期中に松江市
議会で議決したレストラン計画を運営会社のために「税金投入」という表現で報道し、レストラ
ン計画を潰す方向へ世論を誘導したと言っても過言ではないでしょう。

  更に、現市政になり、現助役はレストランの賃貸料を今までの話のおよそ倍の年間4,370万円
に一気に値上げする条件を出してきました。当方は、「その条件で賃借される方があれば、条件
的にはその方が遥かに松江市のためになります」と、当方は出店をお断りしました。宍道湖に面
した眺望の一番良いレストラン計画の場所は、現在、倉庫になっている厨房スペースを含めると
300坪ほどの広さのスペースが利用者の少ない休憩室になっています。


3. 入場料の報道について  
  入場料金について、事実と相違することや視聴者が真実を取り違え市民に誤解を与えるような、
 次のことをNHK松江放送局の記者は、テレビニュースで報道しました。

(1)「覚書という仮契約の形にしろ…」と
、報道しました。
   覚書は、当時の市長印のある入場料金・一括入場方式のことが記載してある正式な覚書で
   あり、「仮契約」ではありません。                         

(2)
「料金設定の根拠、つまり、入場料金の設定そのものが曖昧だという点なんです…」 と、
   報道しました。
   松江市と当方は各自の採算等を計算し松江市は入園料を、当方は入館料を提示し、何度も
   協議を重ね、一括入場の料金を決めたものであり、「曖昧」なものではありません。

(3)
「入場料は大人で2,000円ですけれども、美術館側に1,700円ですから、松江市の取り分が
   300円となります」
と、報道しました。
   共通入場料2,000円のうちイングリッシュ・ガーデン入園料300円、美術館入館料1,700円は、
   それぞれが運営していく上に必要と、それぞれの責任で決めて覚書まで締結したものです。
   NHK松江放送局の記者は、入園料と言うべきを「取り分」と間違った表現で報道し、あ
   たかも当方が松江市の入園料の分まで多く取っていくようなイメージを与えました 。

   入館料を取り決める主たる要素の一つは、展示内容・展示数です。当美術館は、日本美術が
   欧米の芸術に影響を与えたことを解説する「ガイダンス・ルーム」やアール・ヌーヴォーの
   巨匠の傑作の数々でしつらえる「パリ・サロン」、そして、ルイス・C.ティファニーの世界
   的コレクションと合わせて、300点ほど展示している美術館であることも申し添えます 。


(4)
「企業側のいうままに入場料を決めたりするなど問題が相次いで表面化しています」 と、
   報道しました。
   共通入場料は、松江市も当方も一方的に決められるものではありません。松江市の決めた
   入園料と当方の決めた入館料を加えたものが入場料です。

4. 高速船の報道について
  当時の都市建設部長より、
「現在、高速船は発注済である。…この船を湖北芸術文化村に寄港
 させることについては関係機関と市が協議した結果、浚渫、漁業補償について解決の見通しが立っ
 たので、県と市が責任を持って2001年4月までに寄港することを確約する。…」
などと、記載され
 た書面が当方に送られてきました。

  当方のパンフレット、リーフレットに高速船が就航することを掲載するについて、発行前に念
 のため松江市に見せて確認したところ、「松江市が整備する施設部分が掲載されていますが、松
 江市に関わる部分の掲載を許可します」との書面を当方は、当時の都市建設部長より書面をいた
 だき掲載しました。

  高速船の就航、入場料の一括徴収方式などを記載したパンフレット、リーフレットをつくり、
 起工式の当日、松江市議会議員の方達をはじめ、ご出席された地元の財界の方達や報道関係の方
 達にも配布しました。そして、翌日よりパンフレット、リーフレットを一般の方達にも集客の営
 業活動の一環として、幅広く配布を始めてから1年ほど経ちました。

 その後になり、もし高速船の就航が困難になったなら、先ず松江市から当方に話があって然る
 べきです。ところが、松江市から事前に当方に何の話もないにもかかわらず、突然、高速船の就
 航は実現できないと受け取られるような、次のことをNHK松江放送局の記者は、テレビニュー
 スで報道しました 。

「出雲空港と湖北芸術文化村(ルイス・C.ティファニー庭園美術館)を結ぶ高速遊覧船の就
  航を計画して、それが暗礁に乗り上げたり、とか様々な問題が出てきております
」と、報道
  しました。


  このNHK松江放送局の報道を転機に、前市長が美術館誘致時に約束された「高速船の就航の
 約束」は、頓挫する方向へと進んでいきました。この報道に関しても現市長から当方に何の話も
 ありませんでした。その後、松江市より、「申し訳ありません。高速船は発注してありませんで
 した」と、話がありました。このような驚くべき事柄が表面化して、当方の制作したパンフレッ
 ト、リーフレットに記載したことと相違し当方の信用は一気に失墜しました。

  前述の 1.〜4. に記載のことをNHKのテレビニュースで報道すれば、当方の信用は大きく傷
 つき、地域の人々にあらぬ誤解を与え美術館離れを誘発します。
 NHK松江放送局は、これらの報道がどのような結果を招くのか分からなかったと言うのでしょ
 うか。どうして、このような事実と相違することなどを4回にも亘り
 報道する必要があったのでしょうか。これらの報道は記者の裁量だけではできないでしょう。

  これらの事例からNHK松江放送局の記者が、現市長らの一方的な情報取材に終始し、事実と
 相違する報道をしたことをご理解いただけたと存じます。報道の原点である「何時、何処で、誰
 が何をしたのか」の中で、「誰が」に当たる当方への取材を怠り、「ニュース報道」という視聴者
 が信じて疑わない形で事実と相違することを報道して当方を失望させ、将来に「夢」を失う原因と
 なりました。しかも、これらの報道後も現市長は、当方に関する件で事実と相違する発言を市議
 会の場で述べています。市議会議員も市長の発言に対し、疑問があれば「何故か」と、問い正すべ
 きでしょう。人も企業も「夢」を失うほど悲しいことはありません。

 この件の当事者は、あくまで松江市と当方です。NHKが取材の原則を逸脱し、松江市だけを
 取材し、当事者の一方である当方には取材をしないで、裏づけをとることもなく事実と相違する
 ことを報道することは絶対に許されるものではありません。これらのNHKの報道のあり方に対
 し当方はNHKの会長に謝罪を求めていますが、未だ謝罪はありません。

 当方は、いずれ事実は明らかにされるとオープン間際から6年間耐えてきましたが、現市長の
 誠意ある対応も全くなく、先行きに対する明るさもないため、止むなく平成19年3月31日を以って
 閉館し、「松江から安住の地を求めて旅立つ」決意をいたしました。
                                          以上

望まれる記者像: 

 戦前の記者は「先生」と呼ばれ、人格、教養、見識の非常に高い方達でした。理想的な公平な社
 会を築く為、真実を伝え、世論を正しい方向に導く為、幾多の教えと方向付けに邁進した記者た
 ちのその功績たるや枚挙にいとまがありません。その先達の歩んだ偉大な道をジャーナリストと
 して誇りを持って日夜努力して欲しいと願って止みません。