中曽根氏のことでお電話したのに、恩師に衝撃的な影響を与えた人とは、「田中角栄氏」であった。
日経新聞の「田中角栄に学ぶリーダーの条件」を一気読みされることをお薦めする。
角栄氏の圧倒的人間力が分かる。母ムメさんの謙虚さに多くの官僚が打たれる。
角栄氏は「学がない」ことを逆手に取って自然態でぶつかった。
中曽根先生はその人間力をバネにして総理の座に飛翔できた。岸先生もまた田中角栄氏を良い
ところを充分認めておられた。
角栄氏も闇の帝王と揶揄されながら傍若無人とも思える行動をとっても岸先生に対する礼節は
わきまえていた。
それゆえ角福戦争も羽目を外すことはなかった。『自民党戦国史](伊藤昌哉著)の人間力の凄
まじい戦いは男冥利に尽きる戦いである。
角栄氏は政治とは何かを教えてくれた。政治力とは官僚的知を使いこなす人間力(愛、思いやり、
誠実さ、謙虚さ)である。中曽根氏は冷たいと感じられれくらい知的にも清廉され、かつ人徳とも
ギリギリのところでバランスのとれた政治家であった。「ギリギリのところ」と述べたのは弱小派閥
にあって「風見鶏」と揶揄されても大義を忘れず初心を貫いた人であったと思うからである。
日本教育史を専攻され、長年教育畑で実践してこられた恩師の意外な言葉の意味を中曽根先生
追悼10日を過ぎて悟ることとなった。