2016年の所感と未来展望
  From: 大脇 <junowaki@able.ocn.ne.jp> Date: Fri, 30 Dec 2016 12:54:31 +0900

 敬愛する日本と世界あるいは家庭や会社の未来構想を描き続けていらっしゃる
同志の皆様、後1日で2016年も終わろうとしています。
 最近痛感するいくつかのことをもって来年へのご挨拶に代えさせていただきます。

1、国際情勢の未来展望

 トランプ次期米国大統領の誕生、英国のEUからの離脱と中国、ロシアの覇権主
義の台頭、中東の原理主義の先鋭化、世界の動乱は激化しそうです。
 その中にあって明るいニュースは日米首脳がハワイで慰霊をなしたことである。
民間レベルでの慰霊の交流はあったが、国のトップが為すのはその完成である。
日米の底流にわだかまる怨念を超えて、愛と信頼の絆がより強固に結ばれたこと
を祝し、希望の未来を望みたい。

 社会を動かす力は、物を動かす金力(経済力)、人を動かす権力(政治力)、
人の心を動かす権威(文化力)の3つがある。資本主義社会においては資本が富
を増殖する金融システムと、経済力そのものを内から押し上げる動力、技術
力がある。 それゆえ、社会を変える力に、技術、システム、価値の3つを
挙げる人もある。 R.ニーバー(社会学者)は政治家としての資質として「情熱」
「責任感」「判断力」の3つを挙げている。マッカーサーは、軍人としての資質
として「義務」「名誉」「祖国」を、安藤忠雄氏(建築家)は「自由」「責任」
「勇気」を挙げている。青春時代、小生が仕事に行きずまった折、恩師は自らの
人生を振り返り、『要するに「責任感」と「実績」だよ!』と激励してくださっ
た。今では、そのその前提に「愛」を加えるべきであろうと悟るようになった。
経済人(経営者)トランプ氏は今や政治家になろうとしている。政治に未経験な
彼に不安感を抱く人もいる。経済人の資質とは何か? P. ドラガーは「理念」
「顧客」「決断」を挙げる。 両者の違いは何か?情熱と理念、判断力と決断は
類似しているが、「責任感」と「顧客」は一見、その責任範囲が異なっているよ
うに思える。国民であれ、顧客であれ、そのニードに答えようとする「為に生き
ようとする精神」は同じである。国家がグローバル化からナショナリズムへ後退
しつつあるかに見える今日、市場のグローバル化との相反性は、世界の未来に困
難が待ち受けていると覚悟しなければならないであろう。

 権力の座はそれを取りまく利益集団のせめぎあいが激しく、腐敗の温床となり
やすい。それゆえに民主主義社会では、権力の座は短期間に限られている。権力
と権威が一体の王政、独裁制は腐敗し易い。韓国歴代大統領の多くの悲惨な末路
はこれと無縁ではない。朴正熙大統領は国父を目指した。高官の多くも日本の
文化的本質を知ろうと来日した。
いかに有効な政治システムを造るか、人類はいま
だそれに成功していない。民主主義はやむを得ない政治制度だ。


2、新しいパラダイムの必要性

 グローバリズムの底流にある哲学は、自由(個人主義),民主主義、資本主
義である。自由競争の時代の終焉が叫ばれ、コミュータリズム(共同体主義)が
提唱されている。しかし、自明のように思われている「存在とは何か」の哲学革命を
はらんでいることに気が付く人はいまだ少ない。
 クローバリズムの進行は、存在とは物であり、個物であり、短期(瞬時)の今
であることを前提にしている。見えないもの、関係性(人間、家族、社会)、歴史
(過去、現在、未来)もまた存在ではないのか? 西欧の唯物的、個物偏重、刹
那主義の思想に代わり、精神性、連帯性、歴史性を加味した新しいパラダイムに
立脚せずして今日の文明的危機を乗り切ることは出来ない。オリンピックこそ西
洋文明の限界を超えて、東洋文明との融合を図り、人類恒久平和の道を拓く、千
歳一隅のチャンスであると本年提言をしてきた。2020年の東京オリンピック
は未だに、お金の問題だけに終始ており、肝心の「何のためのオリンピックなのか?」
オリンピックの理念が問われないのは寂しい限りである。未来構想からの本年の
真摯な提言をご笑覧賜りたい。



3、環境・エネルギー問題解決の道

 核兵器戦争の脅威、南北格差の拡大、環境問題の深刻化、非人間化は、グロー
バリズム、西欧文明の当然の帰結である。環境問題は人間社会の問題であり、畢
竟、人間自身の思想の問題に帰結する。それゆえパラダイム転換こそ問題解決の
究極的な鍵である。第二次世界大戦において、人類は、敵に打ち勝つために
安全を度外視して、ついに原子力のパンドラの箱を開けてしまった。「存在は個
物である」とする西欧哲学の当然の帰結であった。その対極にあるのが「存在は
関係性(場・連体)である」とする東洋の哲学である。今や、核の融合、東西の
医学の融合も進みつつある。 この年末、小生は、真田幸村で著名な上田で過ご
した。顧問を委嘱されている創生ワールド社長の依頼があったためである。15
年前、深井社長は環境問題にぶつかり、その元凶でもあるホテル業を廃業し、環
境にやさしい水の開発に取り組み、洗剤の要らない飲料水、創生水を開発、
最近では「燃える水」に挑戦し、研究開発を進めている。
その原点は「水と油
は混ざらない」との一般常識を疑うことから出発している。
 「存在は関係性(縁、結び)である」とする東洋哲学からの発想である。
『水がエネルギーになる日』深井社長の著書の監修者、有冨教授(東工大、
原子核工学)とこの点につき突っ込んで話す機会を得た。「科学はまず事実ありき」
だ。今までの既成概念からは到底理解できない物理現象も、既成概念の枠を超えて、
事実そのものと向き合う柔軟性、謙虚さが必要とういのが先生のスタンスのように推
察された。

 今年ノーベル生理・医学賞を受賞され大隅教授は、「人がやっていないことを
をやる」と述べている。また昨年同賞を受賞された大村教授も同じことを述べら
た。さらに大村先生は「どうしたらノーベル賞をもらえるか」との高校生の思い
がけない質問に、「世のため、人のためにやること」、この2つがあれば、ノー
ベル賞受賞は簡単だ」何のてらいもなく、即座にお答えになった。
 「だれもやらないユニークなことをやる、それが人類のためになるかもしれな
いというなら、思い切ってその夢に投資をすべきではなかろうか?」日本ではこ
のような目に見えない夢に投資する人は極めて少ない。そのような劣悪な研究環
境を乗り越えての度重なるノーベル賞受賞、日本の研究者達の気概に改めて敬意
を表したい。

 アインシュタインの「重力波」の予言が百年目の今年2月に実証された。これ
に沸いた年でもあった。小生は、「宇宙の究極は愛」であるというアインシュタ
イン預言
(娘に宛た手紙の1つ)に出会い、皆様にもご紹介した。小生も若き時
代の求道の体験からこの予言の重大さを痛感している。
 存在物は、小は原子の運行から大は天体の運行に至るまで、自体の自転と同時
に公転し、他との関連性を持ち存在している。「何のための関係性か?」目的を
中心としての関係性である。宇宙が広大な関係性の有機体であるとすれば、そこ
に目的があり、目的の背後に意志があり、意志は人格の現れであり、そこに愛が
ることを想定することは極めて自然である。

 小生は今、修善寺に暮らしている。交通の発達した今でさえ、伊豆へ行くには
ちょっとしんどい。千年前、不便なこの地に足を踏み入れた弘法大師、その修善
寺から4キロメートル奥に、大師が修行した奥の院がある。小高い山の中腹にあ
る洞窟と滝で空海が修行したのは唐へ留学する前の、若干18歳であったいう。
肉体の難行苦行を甘受して精神世界の求道をした空海を思い起こすにつけ、現代
人は便利さ、快適さの故に身を甘やかし、もっと大切なものを見失っているよう
に思われる。


4、新しい市民運動の展望

 舛添知事の不祥事が明るみになり、この7月小池新都知事が誕生した。
小池知事の政治手法は、下から上へのボランティア手法であった。
 小生は東京での最後の仕事を7月12日、「2020年東京オリンピックへ提言」
を一日かかって印刷し、親書を添えて小池知事にお届けした。テレビを見ていた
ら、偶然小池都知事の都議会での就任所信演説と出会った。知事は後藤新平の遺
言「人のお世話にならにように、人のお世話をするように、報いをもとめぬよう
に」(自治の三訣:自助、互助、自制)を演説の半ばと最後の締めとに2度も引
用された。オリンピックの理念についての膨大な提言は今後の都政に期待するこ
ととして、思いがけない所で、都政のお役に立てて光栄であった。 都政は来年
選挙で正念場を迎える。上からの民主主主義(グローバリズム) が富の偏在を
招いている今日、下からの民主主義、ボランタリズムが都政を変えうるのかどう
かが問われている。小生は下からの民主主義を手放しで礼賛するものでもはない。
平等を掲げた社会・共産主義の実験は失敗であったことは歴史が証明いしている。
憎悪を根底にした運動であったからである。今回の日米慰霊の行事のように恩讐
を超えた真の愛を根底にした社会運動が望まれている。

 それは単なる物の再分配に終始するのではなく、既存のパラダイムの転換を含
む文明転換、ライフスタイルの転換を包摂するとき、大きな成果を生むことであ
ろう。 自然や社会、内面世界との関係を断ち切って、「我思うゆえに我あり」
とする主知主義、個人主義は今や終焉に至っている。我れがある前に父母や先祖
があり、人々との関係(「人間」)に生かされ、自然との関係で生かされている。

 この関係性の原動力こそが愛であり、存在の本質であることに目覚めるときの
ように思われる。主体意識から対象意識へのコペルニクス的大転換の時である。
東京オリンピックのキャッチフレーズ「おもてなし」はこれをよく表現している。「お
蔭さまで」「ありがとう」「もったいない」等に代表されるように、日本語には
対象意識に基づく言語表現が豊富である。「正直、節制、勤勉」等の個人的主体
的価値に対して、「忠・孝・烈」の東洋の三大美徳は、いずれも主体に対して対
象が尽くす対象的価値である。自己主張、自由競争の西洋文明に代わり、相手の
ために生きる共生、共栄、共義の時代の到来、日本文明、東洋文明の再評価の
時代の到来
でもある。

 社会を変えるキーワードは「高邁なビジョン」、「ネットワーキング」、「果
敢なる行動」の3つであるというのが最近到達した私の結論である。

 自信をもってまず家庭から始めよう!そして隣国の米国、韓国、中国にも広げ
ようではありませんか!

  それでは、良いお年をお迎えください。

    2016年12月30日    大脇準一郎


Merry Christmas and Happy a New Year !

同志の皆様、大脇です。

1. 世界へ通じる外交哲学、戦略の確立を!

12月16日午後、日露首脳共同記者会見を見ていて 、シベリヤ抑留問題が胸をよ
ぎった。シベリア強制抑留者協会協会会長の相澤英之先生は今年97歳、先生に
電話した。先生は即座に何点か挙げられた。さすがは弁護士と感銘した。小生の心
配していた通りなので、急遽時間を取っていただき、記者とともにインタビュー
にお伺いした。1)帰国させるからと行って騙してシベリヤへ抑留したこと。2)
労働賃金を払う文書を交わしながらも未だ未払いの件、3)日ソ不可侵条約の一
方的に破棄、4)56年の日ソ平和共同声明で約束した歯舞、色丹も棚上げ、
5)ロシアを非難するだけでは片手落ちであって、外務省を始め、5省庁高級官
僚の「日本的和の外交」の欠陥
が気になるところである。

60 万人を超える犠牲者、6万人をはるかに超える死者の訴えを本にして世界へは
発信すべきすべきとの声も聞く。この夏 ロシアは、広島、長崎の原爆を落とし
た米国を非人道的と非難した。そのその意図は 日米離間工作にあることは明白
である。したたかなロシアとの折衝の バーゲニングパワー、交渉のカードの一つ
としてシベリア行く龍問題は、しっかり保持しておく必要性を痛感する。日刊紙
編集委員、月刊雑誌の編集長も同席したので、最も効果的な折に、スクープとし
てでることであろう。


2.日韓関係改善への提言

気になるのは隣の韓国のこと、朴槿恵大統領 を追い込んでいる背後に北朝鮮がある
ことである。福田之保氏の論文が韓国で話題となっている。一日2~3万人のアクセス
がにあるという。

50 年来の盟友 加瀬英明先生と懇談した。先生は韓国の歴代の大統領にはあまり
にも不祥事件が多すぎる。これは権力が集中しすぎているためで、政治的権力と
文化的権威の分離を図るべきで、一案として李朝への王政復古を提言された。ま
た小生の日韓共同国際ボランティア活動の提言に対して、中古の航空母艦を買収
し、日韓共同で病院船とし、国際協力に努めてははどうかと提言をされた。小生
の日韓関係改善への提言
:1)世界平和のために日韓がともに生きるビジョンを
描くこと、2)自国の視点だけだけでなく、相手の視点からも見つめる比較文化
論的アプローチの必要性、3)視点を未来において、後孫に何を残すか実りある
結実に努めること、ニューパラダイムの必要性については共感を得た。


エネルギー問題解決と国際協力

 小生、1週間前から、長野県上田市に来ている。18日(日)は、上田で真田幸
村の最後をテレビで看取った。顧問会社の創生ワールド社長の依頼での出張であ
る。かつて韓国、南北米、アフリカと大学をベースに創生水の研究ネットワーク作り
に協力
たが、これを「新たな次元から世界的に展開したいので手伝ってほしい
との依頼であった。前述の2つのインタビューで一時帰京したが、昨日(23日)、
創生ワールドの忘年会で再び上田に舞い戻っている。ここで深井社長の最新刊
『水がエネルギーになる日』(ダイヤモンド社刊)の共同著者、有冨正憲先生
(東京工大名誉教授・原子力熱伝導)もお見えになっており、長時間懇談の機会
が持てた。原子力政策の現状と展望、国際技術協力の現場にもお詳しい先生との
対話は大変刺激的であった。創生水は油と融合するので乳化剤を使わなくてもエ
ンジンが稼働する。その理由についても意見交換ができた。 同じ忘年会出席者
の一人、オスマン・サンコン氏はソルボンヌ大学を卒業以来、日本大使館員とし
て来日し、今年で45年目、日本語も日本人並み、3人の甥を創生ワールドに送
り込み、見習いをさせている。水事情の最悪な祖国ギニアに創生水を導入し、国
を救いたいと思っている。帰り際、サンコン氏は社長と来年の具体的な支援体制
を詰めることが出来た。

国内外の荒波の荒れ狂う中、新しい芽の萌芽も見られる。各位の益々のご健勝、
ご活躍を期待いたしております。

12月24日   大脇 拝

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